今回は、サークル「ロシナンテ」様のハナミズキ 第四話「落花」の予告紹介に合わせて、最新作、ハナミズキ 第三話「あの夜」のレビューをしていきたいと思います。
本ブログで宣伝したこともあり、発表された作品への感想も書きたいと思います。
結論として、「エロとしては本番無し」であり、次章への良い布石を築いた内容となっています。ハナミズキ 第三話「あの夜」のサンプル画像にも記載されている通り、本編での「※Hシーンは少なめ、本番シーンはほぼありません。」という文面通りです。
延期の件も考えると、第三話と第四話は、一つの短編として発表したかったと思います。願わくば、ハナミズキ 第四話「落花」の制作が順調に進むことを祈っています。
さてここからは、そんなハナミズキ 第三話「あの夜」の「Hシーン以外」の物語についてレビューしていきたいと思います。
「落ち」の変化
まず、ハナミズキ 第三話「あの夜」は、「※Hシーンは少なめ、本番シーンはほぼありません。」だからと言って、物語全体が短いということではありません。
「第二話81P」に対して、「第三話79P」というところからも分かります。そして、第三話「あの夜」を読む前と読んだ後では、読者が読みたい「落ち」が変化しています。
シリーズ全体の方針としては、会社の後輩と不倫した夫に復讐するため、妻も会社の同僚と不倫するお話です。
しかしこの「復讐」は、罪への清算であり、今後も夫婦としてあり続けるための「儀式」だと、妻は言います。
つまり、最終的には、夫婦として再出発する「ハッピーエンド」だったわけです。読者視点では、そんな妻の思惑とは別に、妻の不倫相手の同僚が、ある企みを抱いていることを知ります。
夫婦の化けの皮を剥がす
第三話「あの夜」で示された、本シリーズの「落ち」。
それは、第二話「過ちのはじまり」で提示された「男女の本質」を、この夫婦に分からせること。
第二話「過ちのはじまり」で突如登場した「国語教師」は、生徒に慕われながらも、夜のバーで、性を謳歌する変態痴女だったのです。それは、「彼女だけが特別」ではなく、「女とはそういうもの」。
もちろん、「男もそういうもの」という「真理」を体現した存在に過ぎません。彼女に言わせれば、本作の夫婦は、「さぞ、生きづらい人生を送っている」ということになります。
そして、そのバーの常連客だった国語教師と妻の同僚は、その現実から目を反らし、綺麗ごとを並べる、夫婦の「儀式」に巻き込まれることになります。
妻が復讐を始まるが……
第三話「あの夜」を通して、シリーズの良心とも言える「妻」の「退廃」こそ、本シリーズの「落ち」であり、「堕ち」であることが示唆されたと思います。
夫への「儀式的な復讐」も当初は、そう思わせる「身代わり(第二話の国語教師)」を用意するなど、夫へ配慮した清算を選んでいました。
最終的には、「同僚との不義(肉体関係)」による「同罪」こそが、唯一の「贖罪」だと認識を改めるのですが、それでも「夫婦の再出発」を願っていました。
そのため、同僚とセックスしても、「ただの肉体的な接触」という認識だったのです。しかし、そう思われる妻の同僚は面白くありません。それでは、「ただの肉の棒」でしかありません。
彼は、セックスを通して、同僚に教えたいと思ったのです。「愛」で語れない「雌の喜びがある」と。
どんな顔を見せるか楽しみ
妻の同僚は知っています。「女とはそういうものである」と。
「愛」など綺麗ごとを語っても、体は「性」を求めてしまう。彼女の開発を通して、その奥に隠れた「雌の素顔」を見たいと思っています。
一方で、妻は、夫の不倫を糾弾した立場として、好きでもない男性によがる姿は、決して夫に見せるわけにはいきません。
そして、好きでもない男性によがる妻の姿は、夫にさらなる絶望を与えることでしょう。
ますます、今後が楽しみな「ハナミズキ」シリーズです。一日も早い発表を心よりお待ちしております。
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